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白い軍艦の時代 [1/700八島]

最終回です。
最後に菊花紋章を金色に塗り、日章旗、軍艦旗を掲げて完成です。

1/700 大日本帝国海軍 戦艦 八島(明治30年 就役時)
1/700 IJN Battleship YASHIMA (Commissioned in1897)
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オマケも作ってみました。
1/700 大日本帝国陸軍 28サンチ榴弾砲
1/700 IJArmy 28cm howitzer (Russo-Japanese War,1904 - 1905)
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ホワイトメタル製パーツのバリをヤスリで仕上げて1段手摺を追加した程度です。
本来なら黒色で塗るのですが、モールドが見えなくなってしまうので、ジャーマングレーで塗装して、エナメル塗料で墨入れしています。フィギュアは三笠用エッチングパーツに付属していたものを流用しています。
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ベースはプラ板表面にラッカーパテをすりつけて荒らしたあと、木紛粘土で土塁を作っています。乾燥後、剥離防止に接合部に瞬間接着剤を塗布、全体にサーフェイサーを吹いてカーキで塗装しました。ベトン部分はスカイグレーです。
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なんだかんだで制作に5ヶ月半もかかってしまいました。今回は手を動かす時間より、悩んでる時間の方が長かったように感じます。(あと猫。)また見切り発車で制作を進めた部分が間違っていた等、検討不足の部分も多く、手戻りで時間がかかってしまいました。
海面ベースはまだまだ未熟で練習が必要です。機会を見てまたやってみたいと思います。
パーティングラインのやすりがけやパテの仕上げ等、今回はかなり基本工作に気をつけて制作したつもりだったのですが、改めて見るとしっかりできてない部分ががだいぶあります。丁寧さがまだまだ足りません。
「三笠」制作時の反省点から、ダビットを真鍮線と銅線でスクラッチしましたが、これはわりとうまくいったと思っています。ただ、手間と時間がかかるのが難点です。

反映していない点
・艦首魚雷口位置
正面の形状を円形から縦長のシルエットに変更しましたが、全体的に位置が低いです。実際には喫水線より上にあります。全部削り落としてスクラッチしようかとも思いましたが、上手にできる気がしなかったので手を付けませんでした。やらなくて後悔するより、やってから後悔した方がよかったかもしれません。
・指令塔高さ
制作途中に気付きましたが前後フライングデッキの高さが若干高いです。その下にある指令塔で高さが決まってしまうため、指令塔上部を1mm程度削った方がバランスがよくなります。
・通風筒位置
これも制作途中で気付いた点ですが、羅針艦橋脇の通風筒はより艦中心に近い位置にあります。実物をよく見ると、フライングデッキに少し(通風筒直径の1/4くらい?)めり込んでいるように見えます。
また、後部の通風筒位置は正確にはより艦尾側に位置しています。これが後部艦橋基部構造物を切り欠いて、上甲板から立ち上がっているのか、後部艦橋基部から立ち上がっているのかは、はっきりわかりません。
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・通船ダビット位置
左舷前方に追加した小型通船用のダビットは、写真によってはもっと前方に位置しているものもあります。途中でどちらかに移設されたものと思います。就役時がどちらなのかはわかりませんでした。
・防雷網格納場所
最後の方で気が付いたのですが、前後主砲のバーベット部分に沿うように柵があり、バーベットと柵の間に畳んだ防雷網を格納するようです。再現しようかとも思いましたが、通風筒位置から見直さないといけないため、断念しました。


灰色を「軍艦色」と呼ぶように、軍艦といえば灰色に塗られているのが現在では当然のように感じますが、ごく短い期間、軍艦が白く塗られていた時代がありました。そんな時代の軍艦を作ってみたくて今回「八島」を作りました。

清に対抗するために厳しい国家予算を切り詰め、明治天皇自ら帝室費の一部を供し、やっとの思いで手に入れた富士型戦艦2隻でした。
日本がイギリスから戦艦を購入する、という情報に敏感に反応した国がありました。アメリカ合衆国です。富士型戦艦はイギリスのロイヤル・サブリン級戦艦をベースに設計されています。ロイヤル・サブリン級戦艦は34.3cm (13.5in) 30口径の巨砲を持つ戦艦で、当時のアメリカ新鋭戦艦であるインディアナ級の33cm (13in) 35口径を上回ります。もし日本がこれを保有するとアメリカに対抗できる戦力はありません。しかし実際には富士型戦艦に搭載された主砲は30.5cm (12in) 40口径であり、この時のアメリカの懸念は杞憂に終わりました。
一方1893年、ハワイ王国において政変が勃発した際、プランテーション労働者として働く邦人2万人の保護のため、巡洋艦「浪速」(艦長:東郷平八郎)、装甲コルベット「金剛」を派遣、ホノルルに入港させており、日本海軍は着実に外洋作戦能力を保有しつつありました。当時のアメリカ海軍のドクトリンは沿岸防衛ができる程度の能力があればよいというもので、主力は東海岸にあり、戦力を太平洋に持ってくるにしても、南米のマゼラン海峡かホーン岬を大きく回っていくしかありません。パナマ運河開通は1914年まで待たなくてはなりませんでした。「このままでは太平洋を日本に取られてしまうのではないか」こうした疑念が、アメリカを大きく突き動かしていくことになります。
1898年、アメリカはついにハワイを併合、準州とします。同年、米西戦争に勝利しスペインからグアムとフィリピンの割譲を受けます。ハワイ、グアム、フィリピンを橋頭堡として太平洋の支配に乗り出すのです。
日露戦争が終結して3年後の1908年10月、アメリカ海軍の大艦隊が世界一周航海の途中横浜に寄港します。この艦隊は「白い大艦隊(Great White Fleet)」と呼ばれ、かつての日本海軍のように船体は白く塗られていました。艦隊の中心となる前弩級戦艦16隻は、すべて1900年から1907年の間に就役した新鋭艦ばかりです。名目上は「友好親善の航海の旅」と称していましたが、真の目的は、アメリカが沿岸防衛海軍から脱却し、外洋作戦能力を持った海軍に生まれ変わったことを世界、とりわけ日本に対して誇示するものでした。これは単に艦隊の練度が向上しただけでなく、世界各地で石炭や物資を補給できるロジスティクスシステムが完成したことも意味していました。

こうして歴史を振り返ると、清やロシアに対抗して購入したこの富士型戦艦が、その後の太平洋を巡る日米間の壮絶な争いの端緒のひとつだったことに驚きます。
白い軍艦の時代はまさにそういう時代でした。

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参考文献:「日米衝突の根源 1858 - 1908」渡辺惣樹著 草思社刊


フォーサイト シールズモデルズ 1/700 日本海軍 戦艦 八島 プラモデル SMP011

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コメント 4

kto

完成おめでとうございます! 白色は軍艦の機能美を一層引き立てるような気がします。
ところで、海面ベースは何を使って製作されたのでしょうか? ご教示いただけると幸いです。
by kto (2013-03-14 22:30) 

VAN

ktoさま、はじめまして!
いつも nice! ありがとうございます。
これからもよろしくお願い致します。
灰色の艦に見慣れたせいか、白色だと新鮮に感じますよね。

海面ベースは海面の色をベースに塗装したあと、アクリルのクリアーを筆で重ね塗りしています。
まだまだ納得のいく出来ではありませんが、こちらに制作過程を記しています。
http://mokeidaisuki.blog.so-net.ne.jp/2012-10-20
by VAN (2013-03-15 21:18) 

minekaze1920

こんばんは。
「八島」完成おめでとうございます!
いつもながら素晴らしい完成度ですね。
海面ベースの深みのある青と、白い船体との対比がとても美しいです。
私も“白い軍艦”の模型を現在制作中ですので、塗装の参考にさせていただきます。

by minekaze1920 (2013-03-17 21:44) 

VAN

minekaze1920さん、こんばんは。
祝辞ありがとうございます。励みになります。
砲艦「宇治」も白い船体ですね。
筆塗りだとどんな感じに仕上がるのか、楽しみにしています。
by VAN (2013-03-18 22:53) 

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