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特別輸送艦 雪風を作る [1/700雪風(復員船)]

雪風シリーズ第3弾です。
そろそろ着手しないと…、と思っていたので始めたいと思います。

1945年(昭和20年)9月2日、東京湾に浮かぶ戦艦ミズーリ上において、
日本は連合国の降伏文書に調印し、太平洋戦争は終結しました。
敗戦国となった日本は、一時的に主権を失い、
連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)の統治下に入り、陸海軍は解体されました。
旧海軍に残存する艦艇は兵装を撤去の上、仮設の居住区を設置して
特別輸送艦として、外地にいる将兵や民間人を内地に送る
復員輸送の業務に当てられました。
その中に駆逐艦雪風の姿もありました。

雪風は1945年(昭和20年)9月15日、特別輸送艦に指定されました。
今回制作するのは、1945年年末から旧海軍舞鶴工廠で行われた
特別改装工事後の雪風を再現してみようと思います。

キットはピットロードの雪風を使用します。
資料は以前の雪風制作時と同じく、
「ハンディ版日本海軍艦艇写真集」と「図解日本の駆逐艦」です。
DSC03176.JPG

アンカーリセスの修正 [1/700雪風(復員船)]

雪風は以前に2隻作っています。同じ事を繰り返し書いてもつまらないので、
今回の制作にあたっては以下の4点について重点的に書いていこうと思います。

1)アンカーリセスの彫り込み
2)リノリウムモールドの撤去
3)仮設居住区の設置
4)前檣の半自作

ほかの工作部分については以前と同じですので、さらっと書くくらいにする予定です。

ではさっそくアンカーリセスの掘り込みから。
前の2隻にも共通していますが、気がついていながら手を加えなかった部分です。
ピットロード、アオシマどちらのキットもですが、
アンカーリセス付近のモールドが浅いです。
実際はもっと深く、アンカーが半分埋まったような状態になってます。
ここを再現してみます。

まずアンカーリセスのモールドの中心に、0.5〜1.2ミリピンバイスを使って開口します。
DSC03188.JPG

丸棒ヤスリ、デザインナイフを使って穴を拡張した後、
0.5ミリピンバイスで2カ所アンカーの先が収まる箇所を開口します。
デザインナイフで穴をつなげて形を整えます。
右舷側はうまくできたけど、左舷側は失敗してしまいました。
DSC03197.JPGDSC03199.JPG

形が整ったら内側をプラ板で裏打ちします。
上部の錨鎖甲板のパーツと干渉しないように注意です。
アンカーリセスの内側にごく少量の瞬間接着剤を流して隙間を埋めて終わりです。
アンカーを入れるとこんな感じです。まだ接着はしません。
左舷の欠けた部分は0.5ミリプラ棒で補修しました。
前のモールドが少し残っているのでそこはパテ埋めします。
DSC03203.JPGDSC03200.JPG

リノリウムモールドを削る [1/700雪風(復員船)]

先週末にフジミの1/700秋月を購入しました。
いろいろと言いたい部分もありますが、できる事はすべてやった、というか
「これでどうだ!」というフジミの心意気を感じるキットでした。
ただヘアライン並みの精細なモールドに
「リアルを追求するとこうなるけど、ホンマにこれがええのん?」
という皮肉もちょっと感じたりしたのは気のせいでしょうか。
着手は年末か来年以降になりそうです…。


戦後の雪風の動向と周辺の出来事をざっと年表にまとめてみました。(※下記注)

1945年(昭和20年) 9月15日 雪風、特別輸送艦に指定。
          10月5日 雪風、軍籍を除籍。
          10月頃から 復員輸送開始。
          12月1日 海軍省廃止、第二復員省設立。
          12月20日 雪風、旧舞鶴海軍工廠入渠。特別改装工事。
1946年(昭和21年) 2月11日 雪風、特別改装工事完了。
          12月18日 雪風、復員輸送任務終了。
          12月30日 雪風、特別保管艦に指定。
1947年(昭和22年) 1月13日 雪風、賠償艦に決定。
          2月1日〜25日 雪風、浦賀造船所入渠。引渡前整備工事。
          5月25日〜6月15日 東京芝浦岸壁にて連合国による視察。
          7月1日 雪風、佐世保出港。
          7月3日 雪風、上海入港。
          7月6日 雪風、中華民国に引渡し。

1947年5月26日に連合軍が撮影した雪風の画像が数枚残されています。
yukikaze4_usn_s286589.jpg
yukikaze5_usn_s286587.jpg
(出典:Naval History & Heritage Command, U.S.)

賠償艦として整備を終えているため、仮設居住区等は撤去されていますが、
この2枚の画像からわかる事がいくつかあります。

1)予備魚雷格納箱が前後部とも撤去されている。
2)艦橋両舷のラジアルダビット基部を改造して小型の運荷用ダビットが設置してある。
3)甲板上のリノリウムは撤去されている(?)。
4)羅針艦橋基部にあった絡車類が、1番主砲ターレット後方まで移設されている。
5)2番主砲ターレット付近から煙突。

項目の1)ですが、1946年始め(?)に撮影された画像を見ると
前部魚雷格納箱は残されたままになっています。(後部は不明)
一方、1947年2月に行われた整備工事の項目には撤去の項目がないため、
1946年2月11日以降の復員輸送業務を行っている最中に
取り外されたのではないかと推測します。
項目3)について、撮影前日は雨だったようで、甲板上の水たまりが反射して
わかりにくいのですが、リノリウムの押さえ金具の線は確認できるのですが、
リノリウムの部分は、前の錨鎖甲板や周囲の構造物と同じ階調に見えます。
これはリノリウムが撤去され、下面の鋼板がむき出しに
なっているのではないかと推測します。
これもまた、1947年2月に行われた整備工事の項目には撤去の項目がないため、
それ以前に撤去されたものと考えます。
VANは仮設居住区を設置する際、甲板と固定するのに邪魔になるので、
剥がされたのではないかと考えています。

以上の点をふまえて、作業を行っていこうと思います。
とりあえず、甲板上の不要なモールドを削り取ります。
不要な部分は忘れないようにマジックで印をつけます。
DSC03186.JPG

リノリウムのモールドは、ハセガワのモデリングチゼル1(模型用ノミ平細)
を使用して削り取りました。
ほか、舷窓の彫り込み、エッチング扉の取付、モールドの追加などを行いました。
DSC03208.JPG

※注記:参考文献 
アジア歴史資料センター
「特保整備予定表(1−27現在)」レファレンスコード:C08011232300
「雪風工事打合覚」レファレンスコード:C08011232900

「雪風ハ沈マズ」豊田穣著 光人社刊

船体のディティールアップ [1/700雪風(復員船)]

週末にかけて、船体のディティールアップを行いました。

サーフェイサーで継ぎ目表現。舷外電路、アンカー、通風塔、スクリューガード、
フェアリーダー、繋船桁、艦尾爆雷投下台張り出しなどの取付けを行いました。
DSC03216.JPG

舷外電路は天一号作戦時雪風に使用した、ライオンロアエッチングパーツの
余りを使用しています。上手に節約して使用すると、陽炎型駆逐艦2隻分くらい取れる
舷外電路が入っています。真鍮製で柔らかく、曲面にもよく馴染みますが、
接着ピッチを短くとらないと浮いてしまいますので注意が必要です。
艦首と艦尾のフェアリーダーは0.3ミリ銅線で自作してみました。

艦尾の爆雷投下台張り出しはプラ板で自作しました。
この部分は引き渡し後の駆逐艦丹陽以降も残っていたようです。
スクリューガードも真鍮線と銅線で自作しました。
DSC03217.JPG

仮設居住区の制作(1) [1/700雪風(復員船)]

ピットロードから「DDH181ひゅうが」が5月頃発売とのアナウンスがありました。
フルハル/ウォーターライン選択式、展示用ベース、エッチングパーツ付で5,500円。
ウォーターラインのみ、エッチングパーツ無しで4,800円だそうです。
はたして価格に見合った内容かどうか、とても気になるところです。
いずれにしてもVANは買いますけどね。

復員船雪風の方は、なかなか制作時間が取れず停滞気味です。なんとかしないと…。
船体のディティールアップを一通り終えて、上部構造物の制作に移ります。
復員船時の一番の特徴は、上部の甲板上に仮設居住区を設置しているところです。
1946年に撮影された画像から、羅針艦橋前部、1番魚雷発射管跡、2番魚雷発射管跡、
3番主砲跡、の部分に仮設居住区が設置されているのがわかります。
これに追加して、後部魚雷格納箱の部分に居住区を追加したいと思います。
全くの想像ですが、この部分を居住区にすると、収容人員をかなり増やせるのでは
ないかと考え、設置することにしました。

まず、方眼紙を使って、型紙を作ります。
構造物の平面形状は、単純な四角形ではなく、角を面取りした八角形をしています。
仮設とはいえ、なんだか凝った作りです。
この時点で周辺の構造物と干渉しないかよく確認します。
DSC03222.JPG

型紙に合わせてプラ板を切り出します。これが仮設居住区の上面になります。
DSC03239.JPG

羅針艦橋も作り始めました。
艦橋窓枠はライオンロアのエッチング梯子(LE700054)を流用しました。
九四式方位盤前部にあった66cm測距儀は撤去されていたようなので
デザインナイフで削り取ったあと、
ブルワークのみ0.5ミリプラストライプで復旧しました。
DSC03232.JPG

前回の駆逐艦睦月で問題になった直線2段手摺ですが、
やはり気になるので別のものを購入してみました。

ライオンロア日本海軍手すりセット3(LE700025)
ステンレス製で、内容は
1)直線2段手摺 ×4列
2)直線1段手摺 ×4列
3)チェーン2段手摺 ×4列
4)チェーン1段手摺 ×4列
5)チェーン2段手摺(下段ネット付き) ×2列
すべてピッチ短め、1列の長さは各100mmとなっています。
DSC03235.JPG

精度はライオンロア日本海軍手すりセット2(LE700023)と同じ精度です。
小艦艇を作るなら、これ一つで十分かもしれません。
でも1段手摺はこんなにいらないなあ…。

仮設居住区の制作(2) [1/700雪風(復員船)]

前回で切り出したプラ板を天井にして仮設居住区を箱組みしていきます。
手順は大体以下のとおりです。

・仮設居住区の高さを決めてプラ板の帯を作る。
・鋼板の継ぎ目をスジ彫りする。
・天井板の一辺に合わせて壁面をカットする。
・ピンバイスで丸窓を開口する。
・天井板に壁面を接着する。
あわてず1枚づつ確かめながら組み立てていきます。
DSC03248.JPG

2番魚雷発射管跡の仮設居住区。壁面の高さは4.5ミリ。
DSC03242.JPG

後部予備魚雷格納箱跡の仮設居住区。壁面の高さ3.0ミリ。
DSC03246.JPG

3番主砲跡の仮設居住区まで完成しました。
並べてみます。こんなもんかな?
DSC03250.JPG

仮設居住区の制作(3) [1/700雪風(復員船)]

噂レベルでは聞いていたのですが、
アオシマからもひゅうがのキットが7月発売との正式なアナウンスがありました。
ウォーターラインでキットの本体価格が3,600円、
別売りエッチングパーツが2,000円だそうです。
うーん、ピットとどっちにしようか迷いますね。
いっそどっちも買って1番艦ひゅうがと2番艦いせにしようか…。
でも置き場所ないしなぁ…。

引き続き仮設居住区の制作です。
羅針艦橋前部の居住区は、艦橋基部に食い込んでいるように見えたので
こんな形にしてみました。幅はもう少し狭いかもしれません。
艦橋基部の右舷水密扉に干渉しないように切り欠きがしてあります。
DSC03256.JPG

1番魚雷発射管跡の仮設居住区もできたので並べてみます。
エッチングパーツの出入り口の扉と垂直梯子を取付けました。
取付け位置や数は全くの想像です。
DSC03255.JPG
DSC03259.JPG

手摺と防弾板も取付けました。
防弾板の一部は賠償艦として引き渡される時点まで残っていました。
DSC03267.JPG

次回は塗装の工程に移ります。

船体の塗装 [1/700雪風(復員船)]

船体の塗装です。今回はリノリウム塗装がないのでかなり楽です。

1945年年末から旧舞鶴海軍工廠で行われた改装工事後、という設定なので、
おそらく船体は舞鶴海軍工廠標準色で塗装されていたものと考えます。
いろいろ調べてみると、他の海軍工廠標準色よりもかなり明るいグレーのようです。
今回はクレオスH82軍艦色(1)を使用してみようと思います。

組み立ててからだと、ブラシが回らない部分があるので、
まずパーツごとに塗装しました。
スクラッチした仮設居住区はそのまま塗装すると透けてしまいそうなので
ジャーマングレーで下塗りしています。
DSC03275.JPG

組み立て後、仮設居住区の上部に手摺を取付けてさらに塗装しました。
居住区上部の三角の柱は、天蓋支柱です。
最後にマスキングをしてハルレッドを吹きます。
DSC03288.JPG

羅針艦橋床面と流し場の部分はリノリウムとしました。
DSC03284.JPG

マストの制作(1) [1/700雪風(復員船)]

気分よくマストの工作に移ろうと思っていたのですが、ここでトラブル発生です。

船体が船台から外れて落下。被害程度、中破。
後部仮設居住区、ラフィングダビット、ループアンテナ脱落。
艦橋窓枠、手摺、後部スキッドビーム変形。
天蓋支柱折損。 あわわ…。
DSC03294.JPG

なんとか復旧できました。
貼付けていたマスキングテープの粘着力が落ちていたためでした。
皆さんも取り回しには注意しましょう。結構ショックです。
DSC03295.JPG

マストは後檣から作り始めました。
以前に失敗してバラバラになってしまったエッチングパーツをテンプレートにして
0.2ミリ真鍮線で作ります。画像の一番右がテンプレートです。
何となく捨てずにとっておいたのですが、貧乏性もたまには役に立ちます。
間に入る支柱は0.2ミリ銅線やのばしランナーなど
柔らかい素材にした方がうまくいくような気がします。
DSC03297.JPG

他にファンネルキャップも0.1ミリ銅線で作りました。
DSC03301.JPG

マストの制作(2) [1/700雪風(復員船)]

前檣の制作に移ります。
0.3ミリ厚の台形型電探ステージの角2カ所に0.3ミリピンバイスで穴を開け、
0.3ミリ真鍮線の主脚を通します。横桁を取付けて主脚の間隔を固定します。
増設された電探室のでっぱりに干渉しないよう、位置決めは慎重に。
DSC03308.JPG

三角形の中間ステージは、角を落として主脚の通るスペースを確保。
DSC03309.JPG

中間ステージを後方2本の主脚に固定。
乾燥後、空いている三角形の頂点にゼリー状瞬間接着剤をつけて
3本目の主脚を取付けます。
ゼリー状瞬着は固化してしばらくはゴム状の弾性を保つので、
前部主脚は中間ステージの固定点を軸にして少しだけ動かすことができます。
この状態でいったん船体に仮組して。前部主脚の位置決めをします。
位置が決まったら、電探ステージ部との接点を液状瞬間接着剤で固定します。
DSC03312.JPG

補強ブレス材はのばしランナーで作りました。適度に直線を保ち、加工性が良いです。
長めに切り出したのばしランナーの片端を瞬間接着剤で固定し、
ニッパーで調整してもう片端を接着します。
DSC03320.JPG

前檣の上部はピットロードのエッチングパーツ、日本海軍駆逐艦陽炎型用(PE-155)
を使用しました。
横桁の支持ワイヤーは切り離し、塗装後にのばしランナーで再現することにします。
2kW信号灯の取付座は、わずかに右前方に張り出しています。
DSC03323.JPG

22号電探は静協のパーツセットから持ってきました。
艦内工作て付けられた安定翼を、適当なプラ材で追加しました。
DSC03316.JPG

以上を組み立てます。プラパーツと比較するとこんな感じです。
DSC03328.JPG

電探ステージが狭いような感じがしたので広くしてみたんですが、
ちょっと広すぎたかも…。
DSC03329.JPG

マストの制作(3) [1/700雪風(復員船)]

マストを塗装して取付けます。

後檣は信号灯を面相筆や爪楊枝などで塗ります。
はみ出したら乾くのを待ってグレーでレタッチすれば大丈夫です。
DSC03331.JPG

前檣も塗装しました。22号電探のラッパの中や見張り台の窓など、
陰になる部分は濃いグレーを塗りました。
のばしランナーに置き換えたワイヤー部分は余り効果がなかったかな…。
DSC03335.JPG

前檣を取付ける前に、信号所のキャンバスを張っておきます。
画像を見ると白ではなく、何やら暗い色だったので、濃いグレーで塗ってみました。
マストはいつものとおり垂直水平に気をつけながら取付けます。
位置が決まったら、柱の基部にのばしランナーの補強柱を取付けます。
DSC03338.JPG

最後にタッチアップして垂直梯子を付けました。
DSC03343.JPG

あら、22号電探がすこーしずれてる…。もう直せないのでこのままいきます。
DSC03344.JPG

煙突類の取付け [1/700雪風(復員船)]

煙突類の取付けです。

1番2番煙突は塗装をしました。2番煙突には細い白線が1本入っています。
DSC03350.JPG

以前から気になっていたのですが、蒸気捨て管の先端形状が変なので修正してみました。
左が修正後、右が修正前です。
管の径と同じくらいのプラ円材を斜めにスライスし、向かい合わせに2枚張り合わせて
下部をカットしたものをつけてみました。
思いつきですが、わりといい感じになったと思います。
DSC03353.JPG

煙突類を取付けました。前部魚雷格納箱とスキッドビームも取付けました。
DSC03357.JPG

2番主砲跡の煙突と(おそらく)浴室煙突を取付けました。
浴室煙突は機銃座を斜めに迂回しています。
主砲跡の煙突は何でしょうね。停泊中でも煙が出ていることから、
ディーゼル発電機かなにか、補機関連の煙突ではないかと考えます。
DSC03364.JPG

艦尾にキセル型通風筒を取付けました。
のばしランナーを加熱して曲げ加工してみました。
白黒画像なので、「白っぽい色」としか判別できないので、
もしかしたら白ではないかもしれません。
配置は艦尾の通風筒の位置を参考にしてみましたが自信がありません。
DSC03358.JPG

これで大きな工作はおわりです。最後の仕上げに移ります。
DSC03369.JPG

仕上げ [1/700雪風(復員船)]

いよいよ最後の仕上げに入ります。

色々な小物類を作りました。
天蓋用キャンバスはティッシュをたたんで水で薄めた木工用ボンドで固めました。
0.1ミリ銅線を丸めて塗装してロープを制作。
木材はダークイエローののばしランナーを薄めた木工用ボンドでまとめました。
DSC03370.JPG

それぞれ仮設居住区の上部に配置しました。
DSC03375.JPG

天蓋支柱に黒ののばしランナーで張り線を行いました。
ダビットにグライプバンドをたすきがけに取付けました。
習字用の半紙を0.5ミリ幅で切って瞬間接着剤で付けています。
半紙は漂白していない「生成り」のものを使用しました。ごく薄いベージュ色です。
DSC03378.JPG

今回は信号旗を付けてみようと思いいます。
当時の画像を見てみると、信号斜桁に信号旗が揚がっています。
白黒画像ですが確認してみると、上から「J」「D」「E」「X」と読めます。
「J」から始まる4字符号はその船を表す固有のコード、
いわゆるコールサインではないかと思います。
私の知る限りでは、雪風は「昭和16年5月22日 内令 572号」
で示されている「JZGA」です。画像から判別した「JDEX」とは違います。
これは終戦後、雪風が軍の籍を離れ第二復員省の所掌となって、
改めて雪風に与えられた符号ではないかと推測します。
そこらへんを示す資料はないかと、探してみましたが見当たりませんでした。

彩色は赤青黄の水性ゲル状インクのボールペン(1本68円)を使用しました。
紙は普通の上質紙です。
DSC03382.JPG

DSC03386.JPG

次回で最終回です。

命をつなぐ船 [1/700雪風(復員船)]

最終回です。舷側の艦名デカールを貼って、前檣に日章旗を揚げて完成です!

日本国 特別輸送艦 雪風 1946年(昭和21年)
Japanese special cargo ship YUKIKAZE (1946)
DSC03390.JPG
DSC03414.JPG
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艦橋上部3m測距儀の先端は白く塗られていたようなのでそのようにしてみました。
DSC03407.JPG

実際、仮設居住区上部に天蓋用のキャンバスが
このように放置されていたかはわかりません。それっぽく見せるための演出です。
DSC03395.JPG

DSC03408.JPG
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漫画「ゲゲゲの鬼太郎」の作者である水木しげる先生も、
この雪風に乗って帰ってこられたそうです。
DSC03415.JPG


雪風(就役時)、雪風(天一号)と並べてみます。
DSC03431.JPG

整合性が取れていないとこがありますね…。そのうち修正しなくては…。
DSC03434.JPG


資料が少なくわからない部分は想像でこなしたので、半分くらいは架空艦です。
ですのであまり資料的価値はありません。念のため。
今回の制作にあたっては、試してみたいと思っていたことや、
いままで気づいていながらも手をつけてなかった点を取り入れて制作しました。
前檣の半自作、仮設居住区の箱組みは、次の丹陽制作に向けての練習になりました。
アンカーリセスの修正、フェアリーダーの追加、蒸気捨て管の先端形状修正、
キセル型通風筒の制作などはおおむねうまくいったと思います。
反省点は、瞬間接着剤の取り扱いがあいかわらず上達しないところです。
今回は特に舷外電路接着時に接着剤がはみ出して外観が良くないです。
箱組みの精度ももう少し上げないといけません。仕上がりが雑です。


アジア歴史資料センターにいくつかの復員輸送に関する報告書が公開されています。
雪風そのものの報告書はありませんでしたが、
復員輸送がどのようなものであったかを断片的に知ることができます。

終戦後の復員兵や民間人の置かれた状況は、場所によって様々だったようです。
北支・満州方面からの復員輸送の報告書には、
聞き取りによって当時のソ連軍八路軍の状況や満州人の対日感情の変化などが
詳細に報告されており、復員輸送には、戦後の大陸の情報を収集する
役割があったたことも伺わせています。
また、南方からの報告書には、武装解除に応じず密林の中に潜伏している
兵が数名いること、帰還する者は皆、本土がどうなっているのか
とても知りたがっていたことなどが記されています。

報告書を見る限りでは、戦後、海軍より復員輸送の任を受け、
第二復員省に引き継がれた後も、従事する船員は戦争に負けたからと言って
決して手を抜くことなく、皆最後まで真面目に任務に当たっていたようです。
日本人らしい一面だとVANは思います。
雪風もまた、多くの将兵や民間人を内地に送り、
立派にその務めを果たしたのだと思います。

遠く離れた戦地から復員船に乗り、故国日本の島影が見えたとき、
どんな思いだったのでしょうか。
DSC03400.JPG

特別輸送艦雪風を作る ー完ー
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