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駆逐艦「子日」を作る! [1/700子日]

年が明けての第1作目は、新春らしく「子日(ねのひ)」を作りたいと思います。
正月を迎えて日干支で最初の子(ねずみ)の日を「子の日」と呼び、子供が外に出て松の葉や若菜を摘んで遊ぶ日だそうで、今年は1月5日(丙子)です。まあ、本来であれば旧暦の正月から数えるんでしょうけど。
日干支を調べようと思って家中のカレンダーを見たけど、どのカレンダーにも書いてませんでした。しょうがないのでネットで調べましたけど、十干十二支も現代生活の中でほとんど使われなくなりましたから仕方のないことなのかもしれません。
それにしても、季節や月の名を冠した艦名はありますけど、特定の日を艦名にするのはめずらしいですね。初代は明治末期に建造された「神風」型駆逐艦の20番艦ですが、どのような理由で命名されたのでしょう。

キットは2010年12月購入、アオシマのエッチング付き限定版を使用します。3年も寝かせてました…。
1933年(昭和8年)時のトップヘビーな状態を再現しています。その他、ピットロードの新装備品セットを使って少しディティールアップをしてみます。
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エッチングは主に付属のものを使用していきます。あとアドラーズネストの真鍮引き物砲身が手に入ったので、加工して主砲に使ってみたいと思います。
今回はあまり細かいところに手を入れず、さっくり作るつもりです。
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参考資料です。
「日本海軍小艦艇ビジュアルガイド 駆逐艦編」岩重多四郎著 大日本絵画刊
「日本駆逐艦史 世界の艦船2013年1月号増刊 No.772」海人社刊
「軍艦シリーズ…4 図解 日本の駆逐艦」雑誌「丸」編集部編 光人社刊
「ハンディ版日本海軍艦艇写真集…17 駆逐艦初春型•白露型•朝潮型•陽炎型•夕雲型•島風」
 雑誌「丸」編集部編 光人社刊
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他に「アジア歴史資料センター」から、
「港泊日誌 駆逐艦 初春 昭和8年7月1日~9月30日(1)」
(レファレンスコード:C11084514400)
「港泊日誌 駆逐艦 初春 昭和8年7月1日~9月30日(2)」
(レファレンスコード:C11084514100)
「港泊日誌 駆逐艦 初春 昭和8年10月1日~12月31日(1)」
(レファレンスコード:C11084514000)
「子日」そのものの日誌はなかったのですが、同時期に建造されていた姉妹艦「初春」の港泊日誌がありました。「子日」と「初春」は共に1933年(昭和8年)9月30日に就役しています。
「初春」の港泊日誌はこの後も続いていて、1938年(昭和13年)12月31日まで閲覧することができます。興味深いのは港泊日誌が就役前の7月1日から始まっていて、毎日の艤装工事や公試の内容が記録されていることです。

今回は海軍に引き渡された1933年(昭和8年)10月就役直後の姿を再現したいと思います。
キットからの主な変更点は以下の2点です。
1)舷側バルジの追加。
2)3番魚雷発射管および同予備魚雷格納箱用スキッドビーム撤去。


とりあえずいつものとおりに船体の工作から始めます。
喫水線のパーツの合いが悪いようで、そのまま取付けようとすると歪んでしまうようです。
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歪みを取って、固定用のビスを仕込みます。
1)前部ガイドピンを切除。
2)後部ガイド穴を拡大。
3)四角ナット用穴開口。
4)固定用ビス穴開口。
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艦首側は普通のJIS1種M3ナット、艦尾側は高さに制限があるのでM3の四角ナットを使いました。
プラ材と瞬間接着剤で固定します。
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喫水線パーツは艦尾から貼り合わせて誤差を艦首側に逃がしました。はみ出した部分はヤスリで成型します。このキットの特徴として、舷側に船体の継ぎ目と舷窓の庇がモールドされているのですが、かなりオーバーな表現で、これをキットの「味」として残すかどうか悩ましいところです。
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青島文化教材社 1/700 ウォーターラインシリーズ 日本海軍 駆逐艦 子日 1933 プラモデル 455

青島文化教材社 1/700 ウォーターラインシリーズ 日本海軍 駆逐艦 子日 1933 プラモデル 455

  • 出版社/メーカー: 青島文化教材社(AOSHIMA)
  • メディア: おもちゃ&ホビー



船体の工作 [1/700子日]

「日本駆逐艦史」p.103に就役直後の「子日」「初春」の写真が2葉掲載されています。キャプションによれば「昭和8年10月初旬佐世保」にて撮影されたものとされています。この時点で「子日」「初春」とも、すでに舷側のバルジが追加され3番魚雷発射管が撤去されていることが画像から確認できます。2隻は横付け作業をしているようです。
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(画像出典:Japanese destroyer Nenohi - Wikipedia

港泊日誌を追ってみると、「初春」が1933年(昭和8年)9月30日佐世保で就役した後、10月7日に「子日」が佐世保に入港して「初春」と合流しています。「子日」「初春」の横付け作業は10月14日と16日に行われています。
VANは、以下2点の理由からこの写真は10月16日に撮影されたものではないかと推測します。
(1)横付け作業中に雨が降っていたことが港泊日誌に記録されており、写真では甲板作業を行う乗組員がレインコートを着ているように見える。
(2)この日、「子日」「初春」2隻を佐世保鎮守府長官が訪れて巡視を行っている。巡視終了後、後甲板にて総員集合写真を撮影していることから、写真技師が随行していた可能性が高く、横付け作業の時点から長官巡視の様子を記録していたと推測できる。

資料によっては、「子日」「初春」は『就役直後にバルジを装着した』と記述するものもありますが、9月30日の就役以降10月16日まで、「初春」は一度も入渠していないことから、その記述は誤りであると思います。



「子日」は引き続き船体の工作です。基本的には「日本海軍小艦艇ビジュアルガイド 駆逐艦編」に記載されている改造ポイントを踏襲しています。こういう本があると本当に助かります。

甲板上の不要になるガイド穴をプラ材で埋めます。
舷側の凸モールドは全部削ることにしました。やはり実物で見えないものを見える、というのは不誠実であると思います。。
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船首楼後部を艦橋構造物の幅の分だけカット。
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プラ材とパテで1番煙突前部を延長。
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甲板上に配置するとこのような感じになります。
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両舷にバルジを取付けます。せっかくの舷側フレアが隠れてしまってもったいないのですが仕方ありません。このフレアが再び現れるのは、さらなる大改装を終えた1934年(昭和9年)7月下旬以降になります。
実物では、両舷に厚さ30cmのバルジを取付けていたので、1/700だと約0.43mmになります。そのような微妙な厚さのプラ板はないので、近似的に0.5mm厚プラ板を使用します。
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後はパテを盛り、面の連続性を意識しながらひたすら削ります。サーフェイサーを吹いて傷や段差をチェックします。
0.5mm径ピンバイスで舷窓のモールドをさらいます。舷窓位置と数は、実物画像で確認して一部変更しています。
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上部構造物の工作(1) [1/700子日]

「子日」は上部構造物の工作に移ります。

艦橋の天蓋パーツは窓枠のモールドを削り、さらに裏面から削って薄くします。
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上部艦橋のエッチングはいっぺんに曲げるのは難しいので適当な位置で3分割してから取付けました。羅針艦橋のエッチングはやや高さがあるので、窓枠の上部をカット。射撃指揮所の窓枠はないので、ライオンロアの一段手摺を加工して取付けました。
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射撃指揮所の天蓋はキャンバスなので、別途塗装して取付けます。
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1番煙突廻りはあまりいじりません。ファンネルキャップのモールドはなかなか良くできてるので、そのまま使おうと思います。エッチングはファンネルキャップの部分が抜けてないのでディティールアップになりません。
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一部張り出しを追加するので、おゆまるで縞鋼板のモールドを写し取ります。
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写したモールドにポリパテを薄く塗り、プラ板を押し当てます。硬化後剥がしてバリを取ります。
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取付けるとこんな感じです。
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上部構造物の工作(2) [1/700子日]

引き続き上部構造物の工作です。

組み立て説明書には書いていませんが、2番煙突廻りの給気フードパーツ:B8には前後がありますので注意です。まあ、間違えても外観にそれほど影響は出ませんが。
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毘式40mm機銃座の平面形状はキットと異なるので、「日本海軍小艦艇ビジュアルガイド」の図面を参考にプラ板を切り出しました。前回と同様の方法で上面に縞鋼板のモールドを付けました。
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2番煙突のファンネルキャップパーツ:B11は前後がありますので注意です。幅の狭い方が前です。気付かずに逆に取付けてしまい、ナイフで切り離して再度取付け直しました。
探照灯はピットロードの90cm探照灯に置き換えました。
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予備魚雷格納箱用スキッドビームは付属のエッチングを使用しました。
エッチングが曲げにくく、形にするのに苦労しました。実物の画像と比較するとあまり似てないのですが、このまま使用します。
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後部構造物です。
不覚にも測距儀のパーツを紛失してしまったので、真鍮線とプラ材で作りました。
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後部測距儀台はパーツの形状が実物とだいぶ違うので、作り直すことにします。VANは実物画像からこの部分を円錐台と解釈してみました。四角錐台とする解釈もあります。正直どちらが正解かわかりません。
適当な素材がなかったので、鉛筆のテーパー部をおゆまるで型取りしてポリパテを詰めたものから削り出しました。
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構造物は「日本海軍小艦艇ビジュアルガイド」の指示に従って全高を低くしています。魚雷発射管を載せないため、予備魚雷格納箱の高さの変更は省略しています。
左舷側スキッドビームは0.3mm真鍮線とのばしランナー等でスクラッチしました。その他実物画像に写っていたキセル型通風筒を追加してみました。
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兵装の工作 [1/700子日]

12.7cm砲の砲身は真鍮引き物に置き換えました。キットパーツの砲身も細くていい感じです。
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キットには50口径三年式12.7cm連装砲「B型改2」が付いていますが、これは「防盾改造後」の状態で、これは1934年7月に完了した大改装後に取付けられたものです。就役時には「防盾改造前」のものが装備されていたので、下画像のように成型してみました。実物画像を見るかぎり照準孔シャッターが上の方まである「B型」とも違うようで、型式についてはちょっと疑問が残ります。「B型」と「B型改2」の中間だから「B型改1」?
底面に角度が付いていますが正確ではないので、面一になるようにパテを盛っています。
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キットの単装砲は「A型」のものが付いています。A型は最大仰角75度の照準孔シャッターが上の方まである「防盾改造前」のものですが、実物画像を見るかぎり、就役時にはシャッターが上の方まであるように見えないので、これは「防盾改造後」のようです。パテで上部を埋めました。
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俯角制限枠を1番砲塔前に取付けました。0.2mm真鍮線を使っています。
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もしかするとこの制限枠は艦尾の3番砲塔廻りにも付いているのではないか、と考え1番砲と同様に取付けてみました。就役時の画像で確認できる画像はなかったのですが、大改装後「初春」の画像でそれらしい影が確認できました。正確な位置、形状はわからないので、吹雪型駆逐艦の制限枠等を参考にしています。
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九〇式61cm三連装発射管はピットロードの新装備セットのものを使用します。新規に金型を起こしたキットパーツもなかなかの出来です。
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毘式40mm機銃はエッチングパーツが用意されていますが、これ25mm単装機銃にしか見えないんですけど…。
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銃身はキットパーツを使い、ピットロード新装備セットの25mm連装機銃の基部パーツを使ってディティールアップしてみました。
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キット付属の爆雷装填台エッチングは非常に組み立てづらいので、中間の台のパーツを取り除き、最上部のパーツをいったん切り離して最後に接着するようにすると、うまく組み立てられると思います。
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ライオンロアのエッチングの方が精密で組み立てやすいのでそちらを使用します。
爆雷投射機はアオシマの新規パーツよりも静協の共通パーツの方が精密でいい感じです。
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前回組み立てたスキッドビームはやはり納得いかなかったので、側面の補強材の部分をカットして組み立て直しました。スキッドビームの角はあんなにアールは付いていません。
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塗装と組み立て [1/700子日]

関東は朝から雪です。久々の大雪になるかもしれません。

「子日」は全体の塗装と組み立てに入ります。
手摺はキット付属のエッチングを使います。かなり大味です。
根元の部分を折り曲げてのりしろを作るのですが、これが大変面倒でした。
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外舷の全周に取付けます。
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外舷色とハルレッド、その他細かい部分の塗装をしました。外舷色は「秋月」に使用したH82軍艦色(1)にツヤ消し黒を混ぜたものを使用しました。
艦尾爆雷投下台部分のモールドはキャンバスがかかっている状態のものと解釈して白系で塗装しました。根拠はありません。投下台のエッチングは寸法が大きいので使いません。
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塗装してみると、バルジの境界が滑らかでなかったので、サーフェイサーを筆塗りしてペーパーでならし修正しました。
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上部構造物も塗装して取付けます。艦橋は仮置きです。まだ取付けません。
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バルジが付いていた時期は就役から9ヶ月だけでしたので、魚雷は訓練用の赤い弾頭をを装填している設定にしました。取付けるとほとんど見えません。
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艦橋構造物も塗装して射撃指揮所のキャンバスを取付けました。信号所のリノリウムはエナメル塗料を使って極細の面相筆で塗装しました。はみ出した部分はエナメルシンナーで拭き取ります。
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艤装 [1/700子日]

2週続けての大雪って最近の関東では結構珍しいです。

「子日」は最後の仕上げに入ります。

銅線で伝声管を作りました。0.2mm銅線を束ねて整形し、瞬間接着剤でまとめています。中間に0.7mm幅のアルミ箔を巻き付けています。ちょっとオーバースケール気味になってしまいました。
2分割にして毘式40mm機銃座の下に分割点が隠れるようにしました。
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マストの工作です。前檣は0.2mm、0.3mm真鍮線を使って作り直しました。信号斜桁のみエッチングを使用します。後檣は主にエッチングパーツを利用します。
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前檣の補強ブレースを追加したのですが、ラッタルにかなりかぶってしまいました。ラッタルのレイアウトが違うのか、補強ブレースのレイアウトが違うのか、わかりません。
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ボートダビットは付属のエッチングパーツを使用します。左右のパーツを折り曲げて貼り合わせるのですが、うまく曲げるのが難しいので、一度左右に切り離してから貼り付けました。
艦橋左舷側以外のダビットはもっと取付け角度を深くするために、支柱を切り取ってのばしランナーで調整しています。
艦橋左舷側ダビットの索はカッターと干渉するのでこのあとカットしました。
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7mカッター、7.5m内火艇、6m通船はピットロードの新装備品セットのものを使用しました。
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6m通船は後から取付けるのが難しいため、艦橋パーツ取付け前に設置しておきました。
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兵装その他のパーツを取付けます。
あとはデカールの貼り付けと張り線を少しだけやります。
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次回で最終回です。

駆逐艦「子日」完成! [1/700子日]

最終回です。
デカールと張り線を少し、艦尾に旭日旗を掲げて完成です!

1/700 大日本帝国海軍 駆逐艦 子日(1933年9月就役時)
1/700 IJN Destroyer NENOHI (commissioned in Sep. 1933)
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各部詳細
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キットにはエッチングの銘板が付属しています。せっかくなので仕上げてみました。
コンパウンドで磨き、ラッカーの黒でスミ入れした後、アクリルのクリアーを吹いています。
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銘板の四隅は虫ピンで固定してます。穴径はは0.5mmです。一般的な事務用品の虫ピンは軸径が最小0.6mmなので、穴を拡張するか他の細い虫ピンを用意するかの2通りです。今回は昆虫採集の専門店から軸径0.4mmの虫ピンを取り寄せてみました。頭を金色に塗っています。
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メタルリギングの0.06号を入手したので張り線の一部に使用してみました。
のばしランナーよりも復元性に優れ、ピンと張った直線部分の表現に適していると思います。逆にたるんだ表現に使用すると固定点に応力が残ったままになり、しっかり固定しないと後日自然に外れてしまうかもしれません。
今回は、たるんだ部分の表現には従来ののばしランナー、直線部分の表現にはメタルリギング、という具合に使い分けてみました。
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グライプバンドはいつものように習字の半紙を使いましたが、茶色の油性マジックで着色しました。
取付けた後で気付きましたが、日光や蛍光灯の紫外線で退色するかもしれません。
実際の画像を見てみると、グライプバンドは白いものと黒っぽいものがありますね。素材は何なんでしょう。白っぽいのは柔道着みたいな厚手の木綿生地で黒っぽいのは麻生地でしょうか。
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キットについて
今回舷側のモールドは削り取りましたが、これは好みの問題ですので、どうするかは制作者の好みでいいと思います。
付属のエッチングがよくありません。できるかぎり使用してみましたが、精密かどうかは置いておくとしても、説明書に従ってもきちんと組み立てできないパーツがあるのは、製品として問題があると思います。
キット発売後3年たってますので、既にどこかで指摘されてるかもしれませんが、この「子日」、煙突の高さが1番煙突、2番煙突共に低いんじゃないかと思います。アオシマの大改修後「初春型」のキットは持ってないのですが、「日本海軍小艦艇ビジュアルガイド」の画像を見るかぎりでは、同じ程度の高さに見えます。「初春」「子日」は大改修で1番煙突を1m、2番煙突を1.5m、缶室通風筒の高さを0.3m短縮しているので、大改修の前後で同じ高さということはありえません。見える範囲では缶室通風筒の厚みも足りないので、これらの部分を見直すとより実物に近くなると思います。
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反省点
ボートダビットの幅がばらばらになってしまいました。
機銃座は資料を元にスクラッチしましたが、右舷側に張り出しすぎてしまいました。
前檣がやや高いです。あと1.5mm程度低く。
魚雷運搬軌条の変更をまったく見落としてました。完成後に気付くというお粗末さ。
どれも事前の検討不足に起因する問題です。仮組みなどでトータルバランスや修正点をしっかり確認することが重要です。これをやっていれば煙突の高さについてももっと早く気付けたかもしれません。


「初春」「子日」は就役時バルジを増設し、3番魚雷発射管を撤去した状態でしたが、アジ歴にある「初春」の港泊日誌の中からは、それを裏付ける記述は見当たりませんでした。
「初春」の港泊日誌は昭和8年7月1日から始まっていて、海軍に引き渡される9月30日までの間にドックに入渠している期間は、
 1)7月2日以前
 2)8月19日から9月4日まで
の期間になります。
工事内容の記述を信用するならば、2)の期間は外舷に関する記述はなく、ボイラー、タービン、復水器等、主機の開放メンテナンスのための入渠であったように思われます。1)の期間の記述は2日分しかないのですが、7月1日の工事内容に「外舷塗粧終了」とあるので、バルジは日誌が残っている7月以前に装備された可能性が高いと考えます。
3番魚雷発射管の取り外しはドック入りしていなくても可能ですが、これについてもそれらしい記述が見られませんでした。そうなるとこれも7月以前ということになるのですが、これらの改修が同時期に「子日」にも行われていたと仮定すると「ハンディ版日本海軍艦艇写真集…17」のp.8 ~ 9にある「子日」の写真の日付「昭和8年8月23日」「昭和8年9月」との整合性がとれなくなります。
ここで検討は行き詰まってしまいました。これに関する資料が他にあるのかもしれませんが、VANの手の届く範囲ではこれ以上突き詰めることはできませんでした。


就役から9ヶ月間だけでしたが、特異な形態の「初春型」が作りたかったので挑戦してみました。一応完成はしましたが、不満が多く残る結果となってしまいました。いずれ再チャレンジしてみたいと思います。また大改修後の「初春型」も制作して比較してみたいです。

駆逐艦「子日」を作る!  ー 完 ー


青島文化教材社 1/700 ウォーターラインシリーズ 日本海軍 駆逐艦 子日 1933 プラモデル 455

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