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甲鉄艦「定遠」を作る! [1/700定遠]

清国海軍の甲鉄艦「定遠」を作ります。
日清戦争(甲午戦争)以前の東アジアにおいて最強の軍艦で、清国海軍北洋艦隊の旗艦を務めました。

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画像出典:定遠(戦艦)-Wikipedia

キットは「S-モデル」という中国の山東省青島(アオシマではない)にあるメーカーです。購入は2012年2月。5年近く放置してました…。現在では入手困難です。おそらく再販もないでしょう。
スケールは1/700。他に1/350スケールのキットがブロンコモデルから出ていたと思います。
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中を確認します。キットはは丁寧にエアキャップに包まれています。
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ランナーは3枚。非常に精緻なモールドで、自国の艦に対するメーカーの情熱を感じます。
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さらにエッチングパーツ2枚に真鍮挽物砲身とデカールが付属しています。
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特筆すべきはその価格です。これだけ入って実売価格1,680円!! 日本のメーカーでは無理な価格設定でしょう。たぶん今の中国でももう無理かもしれません。

キットが繊細すぎて、さっそくマストのパーツをポッキリ折ってしまいました…。
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仮組みしてみます。
左右両舷にオフセット配置された特異な主砲レイアウトが目を引きます。「定遠」はドイツのフルカン造船所で建造され、1883年に竣工、1885年に就役しました。ドイツの「ザクセン級」装甲艦 (SMS Sachsen(1877)) をベースにしたとされていますが、むしろ当時のイギリスで建造された「インフレキシブル (HMS Inflexible (1876))」「エイジャックス (HMS Ajax (1880))」「コロッサス (HMS Colossus (1882))」などのイギリス艦のデザインに強い影響を受けているように感じられます。
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日本の「富士型」戦艦「八島」と比較してみます。「八島」の全長は122.6m。対して「定遠」
は94.5m。太平洋戦争時の日本の駆逐艦よりずっと小さいです。例えば「陽炎型」駆逐艦の全長は118.5m。
乾舷は「八島」よりずっと低く、洋行性能はあまり高くなさそうです。設計思想が「富士型」戦艦(とそのベースになった「ロイヤル・サブリン級」)とまったく異なります。
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パーツの合いは良好です。箱組みもほぼストレスなく組み立てできます。
画像では分かりにくいですが、甲板には艦の中心線から舷側に向かって下り勾配(キャンバー)が付いています。模型では無視されがちな部分がきちんと再現されています。
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台座に固定するためのナットを仕込みます。乾舷が低く狭いのでM3の四角ナット(厚さ1.5mm)にしました。
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なお「定遠」の艦種については「戦艦 (Battleship)」と呼称する資料もありますし、「Ironclad」を表す「甲鉄艦」「鉄甲艦」「装甲艦」など様々ですが、本稿では「甲鉄艦」で統一することとします。

船体と兵装の工作(1) [1/700定遠]

アヘン戦争、アロー戦争に敗北を喫した清は旧態依然とした自国軍備を痛感し、ヨーロッパの近代兵器を導入する洋務運動を推進します。4つの艦隊からなる近代海軍を創設。そのうち旅順を母港とする北洋艦隊(北洋水師)には「定遠」「鎮遠」を配備します。
これは当時の日本にとって、大きな脅威になりました。「定遠」は就役以来、3度にわたり日本に来航しますが、これが日本にどのような影響を与えたのかは、浅井佐智子「清国北洋艦隊来航とその影響」[愛知淑徳大学大学院 現代社会研究科研究報告 第4号(2009年6月)]に詳しく述べられています。


「定遠」を購入してから制作の資料になるものはないかといろいろ探していたのですが、なかなかこれだというものを見つけることができませんでした。よって、あまり細かいところにこだわらず作っていこうと思います。

船体と甲板を接着した後、艦首艦尾のアンカー置き場にできた隙間をパテや伸ばしランナーを使って埋めました。
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アンカーチェーンを通すため、ピンバイス、針ヤスリを使ってホースパイプを開口します。開口した後に少量の流し込み接着剤を含ませた刷毛で撫でるとバリが溶けてきれいになります。ホースパイプのふたは後で作り直します。
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艦尾の接着箇所もパテでならして、薄くサーフェイサーを吹いて平滑になっていることを確認します。
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砲塔はパーティングラインを削って、砲身をカット。真鍮挽物砲身を通す穴を開口します。
後部の扉のモールドも一緒に削って、プラペーパーで作り直します。
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木甲板の塗装 [1/700定遠]

ついさっき「ホットケーキミックスで作るチョコスコーン」ってのをレシピ見ながら作ったんですけど、初めてにもかかわらずこれがまた会心の出来で、外はサックリ中はふんわりで美味しかったです。でもこれ絶対太るやつだ!って思いながら食べてました。
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「定遠」は木甲板の塗装に入ります。
「氷川丸」の時は、ちまちまと時間をかけてマスキングテープを貼って、何度もエアブラシ吹いて仕上げましたが、今回は「八島」の時と同じく簡単仕上げでいきます。
まずH-85セールカラーを全面に吹き、XF-60ダークイエロー、XF-19スカイグレイ、H-66サンディブラウンを、木甲板の板目に沿って面相筆で描き込んでいきます。描き込む色は下地が透けるくらいの濃度までシンナーで薄めています。全体のバランスを見ながら描き足していきます。
上記の色は一例ですが、多少メリハリがあったほうがいいと思います。
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最後に「氷川丸」の時と同じく、少量のXF-9ハルレッド、X-8レモンイエロー、H-20つや消しクリアーを混ぜてアクリルシンナーでじゃぶじゃぶに薄めたものを全面に吹き、色調と光沢を整えました。
少し吹きすぎて全体の階調があまりなくなってしまいました…。吹いた直後より乾燥後の方が色が濃くなりますので、薄く吹いて乾燥させ、時間をかけて様子を見ながら重ね吹きしていったほうが良いと思います。
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甲板上に丸いモールドがあってこれがなんなのかわからないのですが、配置から見ておそらく缶室及び機関室の明り採り、または換気用の穴ではないかと思います。とりあえず軍艦色で塗装しておきました。
戦艦「三笠」の甲板上にもそれと思しきマンホール(ハンドホール?)がありましたけど、これはガンルームの直上にあることが多かったように思います。明り取り専用だと分厚いガラスがはめ込まれています。
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艦載艇の工作(1) [1/700定遠]

今月はなにかと忙しく「定遠」はあまり進んでいません。

ここでおもむろに艦載艇に着手します。水雷艇と内火艇を作ります。
水雷艇は手摺、通風筒、舷灯、アンカーを追加してディティールアップします。右舷にオフセットしている煙突は0.5mmプラ丸棒で作り直しました。
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塗装はキットの指示通り全体を軍艦色で塗装しました。
ものさしで測ってみると全長は20m程と小型です。艦載用ではない当時の水雷艇は30〜40mくらいです。内火艇は喫水線下を赤で塗装しました。
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大きさ1mmほどのエッチングのスクリューがあるので取り付けました。ちゃんと保管しておかないと完成までにどこかにいってしまいそう…。
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船体と上部構造物の塗装(1) [1/700定遠]

危うく今月は更新なしになるところでした…。
ちょこちょこ進めてはいるのですが、記事としてまとめられるほどキリのいいところまで進んでいません。

船体は木甲板部をマスキング。上部構造物もマスキングして塗り分けていきます。
塗装は詳細がわからないのでキットの塗装図を参考にして塗り分けていきました。
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操舵輪はエッッチングパーツです。これがなかなか小さくて手強かったです。
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6つのパーツで構成されています。
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大きさはこんな感じ。
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そのほか、艦橋。
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フライングデッキほか。
真鍮製のエッチング手すりは柔らかくて難儀しました。
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艦載艇。
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来月はもう少し更新できるようにするつもりです。

船体と上部構造物の塗装(2) [1/700定遠]

「定遠」の続きです。1年10ヶ月ぶりの更新になります。

この間に大きく変わったことといえば、老眼が進んで遠近両用メガネになりました。ついにジジイの仲間入りです。ヘッドルーペも買いました。まだ使い慣れませんが概ね良好です。
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未開封の瞬間接着剤を使おうと開けたら硬化してました…。新たに買い直しました。
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船体色を吹こうとマスキングをしたところで止まっていました。マスキングテーテープが劣化していないか心配ですが、このままいくことにします。
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船体色はX-18セミグロスブラックにXF-9ハルレッドとつや消し白を少量混ぜたものを吹きます。
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船内色の塗装の前に艦首艦尾にある龍のレリーフを取り付けます。
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塗装後、爪楊枝の先に薄め液を含ませて少しずつ塗装を剥がします。
クリアを薄く塗って表面を保護します。
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2年近くマスキングしたまま放置していましたが、糊残りもなく綺麗に剥がれてくれました。
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ホビーショップ「TamTam」で売ってたマスキングテープです。
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船体と上部構造物の塗装(3) [1/700定遠]

上部構造物の塗装を行なっていきます。
塗装は年代、キットのメーカーによって様々でどれが正解かわかりませんので、キットの指示通りに塗装することにします。
黄色の調色をします。FX-3フラットイエローにXF-9ハルレッド、XF-60ダークイエローを混ぜて「練りがらし色」を作ります。
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明るい色は光が透けるので、下地に薄くサーフェイサーを吹きました。
金属砲身の固定はコニシのGクリヤーボンドを使いました。
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上部構造物と喫水線に白いラインが引かれています。戦艦「八島」の時にも使用したデカールを使って表現します。0.3mm幅のラインデカールを使用します。余白の透明部分はできるだけカットします。
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上部構図物のラインを貼り終えました。デカールは厚みがあって固いので、デカール柔軟剤を使用して少しずつ馴染ませながら貼っていきました。柔軟剤を大量に塗ると、水性アクリル塗料を溶かしてしまうので注意です。
喫水線のラインも途中まで貼ったのですが、いまいち上手くいかず、今回は諦めました。
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フライングデッキを仮組みしてみたところ、わずかに高さが足りず砲塔上部と当たってしまうので、0.14 mm厚プラペーパーを接合部に貼り、かさ上げしました。
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フライングデッキ両舷に舷灯があるようなのでプラストライプでスクラッチしました。
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作っておいた上部構造物のパーツを取り付けます。色数が多いのでだいぶ賑やかになってきました。
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次はマストの工作です。
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マストの組立て、塗装(1) [1/700定遠]

10年ブログをやってると、お知り合いになったブロガーさんたちもTwitterやInstagramなど他のメディアに活躍の場を移されています。VANも一時期Twitterに移行しようかと考えたこともありましたが、今の更新頻度や情報量を考えると、ブログのままで良いのかなと思っています。速報性や拡散性はTwitterの方が優秀ですが、カテゴリー別にまとめるのはあまり得意ではないようです。それに、そんなに急いで広めなくても、情報を求めてる人はネットで検索してこちらにやってきます。
ただ、このブログにも不満がないわけではなくて、今時アップロードするファイルが1MB制限だったり、複数ファイルを一括アップロードできなかったり、ブログのテンプレートが10年間ほとんど変化がなくていい加減ダサいなど、地味にストレスが溜まってきてます。
現在、他のメディアとの連携やブログの引っ越しなども含めいろいろと模索中です。

「定遠」はマストの製作に入ります。
キットではヤードやガフ、デリックポストなど、非常に繊細にできていますが、インジェクションキットの限界で、やはりどうしても実際より太くなってしまいます。パッケージ写真と比較すると長さも足りないことから、
一部を0.3mm、0.5mm真鍮線で作り直すことにします。
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そのままだと逆光で透けそうなので、いったん濃いグレーで塗装してから…
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カラシ色に塗装します。
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マストの組立て、塗装(2) [1/700定遠]

先週「モントローズ」を見に行った時、ホストシップの護衛艦「むらさめ」も見学したんですが、やっぱりむらさめ型はかっこいいです。今までに2隻作っていますが、もう1隻がっつり作りたくなってきました。
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「定遠」はマストの続きです。
今回は張線があったほうが見栄えがすると思うので、少しだけリギングをやっておきます。
先週行った晴海埠頭に「海王丸」がちょうど停泊していたので資料にしようと思ったのですが、周囲が立ち入り禁止で近づくことができず、あまりいい資料が得られませんでした。
詳しい資料はありませんので、張り線はパッケージの不鮮明な写真や組立図を参考にしました。
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船体取付前にやっておいたほうがいい部分を先にやっておきます。ヤード、デリックポスト周りなど。
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ラットリンの取付は思いのほか苦戦しました。外舷手すりとマストを取付けた後だと、入れ込むのがとても難しいです。結局エッチングの上端を0.5〜0.8mmほどカットして、なんとか取付できました。
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マストを船体に設置したあと、艦載艇を取り付ける前にやるべき部分をやっておきます。
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リギングはモデルカステンのメタルリギング0.06号と伸ばしランナーを使用しています。
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リギング、艦載艇、仕上げ [1/700定遠]

先週、久々に自転車でコケてしまいました(3年ぶり2回目)。膝とか肘とかあちこち擦りむいて痛いです。思い返してみると前回も3月下旬でした。前ほどひどい怪我ではないので更新が止まることはありません。ご安心を。
前回の教訓から、自転車に乗る際はファーストエイドキットと小型のラチェットレンチを常に携帯していましたが、これがとても役に立ちました。
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「定遠」は最後の仕上げに入ります。
リギングと艦載艇の取り付けを進めていきます。
リギングは組み立て図の通りに線を張れない部分がいくつかあり、また実物の画像から見てもどうもおかしいところもあったので、実物の画像を参考にして、わかる部分のみとしました。
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最後に細かな部分の接着跡や塗装のはげた部分をタッチアップしていきます。
ウェザリングは最小限にしてアンカー部分のサビ表現にとどめました。
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エッチング銘板が付属していますので、これを綺麗に仕上げました。
ラッカーの黒で全面を塗装した後、綿棒にシンナーを含ませ文字部分と外枠の塗装をはがし、防錆のため水性アクリルのクリアーを全面に吹きました。
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次回で最終回です。
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まだ沈まずや、定遠は [1/700定遠]

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桜満開です。家の近くの見沼代用水沿いに「緑のヘルシーロード」という自転車歩行者専用道があって
道沿いに桜が植えられています。日曜日に行ってきましたけど、この時期は超オススメです。


「定遠」はいよいよ最終回です。後檣に黄龍旗を掲げて完成です!

1/700 大清帝国 北洋水師 甲鉄艦 「定遠」
1/700 The Great Qing Empire Beiyang Fleet Ironclad TING YUEN
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船体の塗り分けは、数少ない資料写真を見比べるとやや違う感じもしますが、撮影された年代によっても違うだろうし、分からないことを悩んでも仕方がないので、説明書のとおりとしました。
19世紀末から20世紀初頭に見られる、黄、白、黒、赤の船体色は何か共通した規定があったのでしょうか?客船の「タイタニック」もこのような塗装ですよね。
普段はグレーの船体ばかりなので、塗ってて楽しかったです。

「まだ沈まずや、定遠は」
「戦い難く成し果てき」
戦艦を保有していない日本が有り合わせの艦隊で無謀にも戦いを挑み、激闘の末、辛くも勝利を手にしました。「定遠」は威海衛湾に擱座、自沈しました。


1年10ヶ月のブランクがありましたが、なんとか完成させることができました。
積みプラもまだまだたくさんあるので、どんどん消化していきたいです。
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