「八島」制作に当たり資料を探したのですが、古い艦のためなかなか集まりません。
調べている途中、明治期に建造された船が東京にある事を知り、
参考のため見に行ってきました。

灯台巡視船 明治丸
Japanese Lighthouse tender MEIJI MARU
(Completed in 1874 at Napier shipyard, Glasgow, UK.)


場所は東京海洋大学(旧東京商船大学と旧東京水産大学が合併)越中島キャンパス内です。
最寄り駅はJR京葉線越中島駅。地下鉄だと門前仲町駅から少し歩くことになります。
校門に守衛所がありますので、一言声をかけて入らせていただきます。

幕末の開国以来、多数の外国船が日本に来航するようになります。
日本の海域を安全に航行するため、沿岸や島嶼部に灯台を設置する事が急務となりました。
イギリスから「お雇い外国人」として、リチャード・ブラントン
(Richard Henry Brunton)らを招聘し、各地に近代的な灯台を建設していきます。
それら灯台建設のための測量、また竣工後灯台の点検等を行う
灯台巡視船が必要になったのです。
「明治丸」は1874年(明治7年)11月24日、
イギリス、グラスゴーのネピア造船所で竣工しました。
蒸気レシプロ機関と2檣(後に3檣に改造)のマストを持つ、機帆両用の鉄製汽船です。
「明治丸」は灯台巡視船としてだけでなく、小笠原領有問題が生じた際は
政府調査団を乗せ、他国に先んじて調査を行ったり、硫黄島探検航海に使用されたり、
明治天皇の北海道、東北巡幸の際、御座船として使用されたりと、
今でいう「政府専用機」のような使われ方もされていたようです。
1897年に商船学校の係留帆船として使用される事になり、
1978年、船としては日本で初めて国の重要文化財に指定されています。

現在は修復工事が行われているため、トップマスト、ヤード、バウスプリット等が
外されています。本来なら甲板にも上がれるようですが、工事のため入れませんでした。

船首フィギュアヘッド。


ブリッジ廻り。


煙突、通風筒。


ラジアルダビット。


スターン(船尾)。


舵廻り。



併設の明治丸海事ミュージアムには、商船学校の歴史に関係する資料が展示されています。
駆逐艦「磯風」のスクリュー。
陽炎型駆逐艦の方ではなく、1917年(大正6年)就役、磯風型駆逐艦の「磯風(I)」の方です。


蒸気レシプロ機関。


月島の高層マンションをバックに。