「氷川丸」の製作を再開します。

病院船「氷川丸」には貨客船時代にはない煙突があります。
資料本としている「氷川丸とその時代」の中に、「煙突後部機関士浴室のスカイライト(天井の明かり窓)を取り除き、油焚きの火葬場を設けた」とあるので、煙突後部の小さな煙突は、火葬施設からのものと思われます。

(出典:映画「海軍病院船」)

映画「海軍病院船」の中には火葬施設そのものは写っていませんが、その周辺の映像はあります。
煙突後部左舷側で慰霊を行っている様子です。周囲を垂れ幕のようなもので囲っています。

(出典:映画「海軍病院船」)

納骨堂のような施設があり、中には遺骨が納められています。

(出典:映画「海軍病院船」)

輪袈裟をかけた下士官らしき人が読経しています。

(出典:映画「海軍病院船」)


これらの情報を踏まえて工作に移ります。わからない部分が多いですが、そこは想像でこなすことにします。
プラ材で納骨堂と火葬施設を作りました。
納骨堂は白木の社(やしろ)のような感じにしました。火葬施設は外装は鋼板耐熱銀色ペンキ仕上げ、内部は耐火レンガ積み、ブロワーで負圧をかけ排気を煙突に送る構造ではないかと思います。


火葬施設は「油焚き」ですが、そこまで燃料油の配管を仮設で引き廻すのは大変だろうと思ったので、200リットルドラム缶を置きました。あるいは仮設の燃料タンクがあったのかもしれません。
周囲を囲っていた垂れ幕は火葬施設と納骨堂全体を囲う範囲としました。なぜ囲っているのか理由はわかりません。乗船している傷病兵の目に触れないようにするためかもしれませんし、生者と死者の境界を表すためのものかもしれません。色もわからないので薄いブルーグレーとしました。
煙突は0.5mm真鍮線とプラ材等でスクラッチしました。


ボートデッキ後部の赤十字標識はエッチングを使います。実際はもっとスリムな赤十字ですが、これしかないのでこれを使います。伸ばしランナーを使って中の支柱を追加しました。


支柱は0.2mm真鍮線を主に使いました。普段はやらないのに何を思ったのかサーフェイサーを吹いてしまい、塗膜のせいで直径が0.3mmくらいになってしまいました。やらなきゃよかった…。


作ったパーツを取り付けます。


火葬施設周りのレイアウトは、こんな感じになりました。遺体は右舷側から搬入します。



「氷川丸とその時代」の中で、1943(昭和18)年5月20日、横浜三菱造船所入渠の際、「六番船艙に屋根を張り、白色塗装のうえ、上部に赤十字を描く」とあります。
映画「海軍病院船」冒頭の空撮映像をよく確認すると、うっすらと赤十字らしき標識が確認できます。これを作ってみたいと思います。

(出典:映画「海軍病院船」)

プラペーパーと0.3mmプラ角棒を使ってスクラッチしました。


取り付けるとこんな感じです。
この仮設屋根からウインチプラットホームまでの間、舷側に向かって天幕が張ってあるのですが、それは後で工作します。