先週末にフジミの1/700秋月を購入しました。
いろいろと言いたい部分もありますが、できる事はすべてやった、というか
「これでどうだ!」というフジミの心意気を感じるキットでした。
ただヘアライン並みの精細なモールドに
「リアルを追求するとこうなるけど、ホンマにこれがええのん?」
という皮肉もちょっと感じたりしたのは気のせいでしょうか。
着手は年末か来年以降になりそうです…。


戦後の雪風の動向と周辺の出来事をざっと年表にまとめてみました。(※下記注)

1945年(昭和20年) 9月15日 雪風、特別輸送艦に指定。
          10月5日 雪風、軍籍を除籍。
          10月頃から 復員輸送開始。
          12月1日 海軍省廃止、第二復員省設立。
          12月20日 雪風、旧舞鶴海軍工廠入渠。特別改装工事。
1946年(昭和21年) 2月11日 雪風、特別改装工事完了。
          12月18日 雪風、復員輸送任務終了。
          12月30日 雪風、特別保管艦に指定。
1947年(昭和22年) 1月13日 雪風、賠償艦に決定。
          2月1日〜25日 雪風、浦賀造船所入渠。引渡前整備工事。
          5月25日〜6月15日 東京芝浦岸壁にて連合国による視察。
          7月1日 雪風、佐世保出港。
          7月3日 雪風、上海入港。
          7月6日 雪風、中華民国に引渡し。

1947年5月26日に連合軍が撮影した雪風の画像が数枚残されています。


(出典:Naval History & Heritage Command, U.S.)

賠償艦として整備を終えているため、仮設居住区等は撤去されていますが、
この2枚の画像からわかる事がいくつかあります。

1)予備魚雷格納箱が前後部とも撤去されている。
2)艦橋両舷のラジアルダビット基部を改造して小型の運荷用ダビットが設置してある。
3)甲板上のリノリウムは撤去されている(?)。
4)羅針艦橋基部にあった絡車類が、1番主砲ターレット後方まで移設されている。
5)2番主砲ターレット付近から煙突。

項目の1)ですが、1946年始め(?)に撮影された画像を見ると
前部魚雷格納箱は残されたままになっています。(後部は不明)
一方、1947年2月に行われた整備工事の項目には撤去の項目がないため、
1946年2月11日以降の復員輸送業務を行っている最中に
取り外されたのではないかと推測します。
項目3)について、撮影前日は雨だったようで、甲板上の水たまりが反射して
わかりにくいのですが、リノリウムの押さえ金具の線は確認できるのですが、
リノリウムの部分は、前の錨鎖甲板や周囲の構造物と同じ階調に見えます。
これはリノリウムが撤去され、下面の鋼板がむき出しに
なっているのではないかと推測します。
これもまた、1947年2月に行われた整備工事の項目には撤去の項目がないため、
それ以前に撤去されたものと考えます。
VANは仮設居住区を設置する際、甲板と固定するのに邪魔になるので、
剥がされたのではないかと考えています。

以上の点をふまえて、作業を行っていこうと思います。
とりあえず、甲板上の不要なモールドを削り取ります。
不要な部分は忘れないようにマジックで印をつけます。


リノリウムのモールドは、ハセガワのモデリングチゼル1(模型用ノミ平細)
を使用して削り取りました。
ほか、舷窓の彫り込み、エッチング扉の取付、モールドの追加などを行いました。


※注記:参考文献 
アジア歴史資料センター
「特保整備予定表(1−27現在)」レファレンスコード:C08011232300
「雪風工事打合覚」レファレンスコード:C08011232900

「雪風ハ沈マズ」豊田穣著 光人社刊