いよいよ最終回です。
張り線を少しと軍艦旗を掲げて駆逐艦「秋月」完成です!


大日本帝国海軍 駆逐艦 秋月(1942年6月就役時)
IJN Destroyer AKIZUKI (Commissioned in Jun. 1942)




各部詳細






大日本帝国海軍 駆逐艦 秋月(1944年10月最終時)
IJN Destroyer AKIZUKI (Sunk in Oct. 1944)




各部詳細





キットについて
各所に精密なモールドが施されており、他社のキットとは一線を画しています。ただし、自分でディティールをコントロールしたい人や、これをベースにいろいろ改造したい人にとっては少々厄介かもしれません。
各パーツが細く繊細なので、ランナーから切り離す際には細心の注意が必要です。(VANも何カ所か折りました。)
おおむね精密なディティールなのですが、魚雷発射管、射撃指揮装置、爆雷装填台と投射器など、所々ぼんやりしたモールドのパーツもあり、今回のように他のパーツ等に置き換えてやるだけでかなり見違えると思います。
パーツの貼り合わせにタミヤの流し込み接着剤を使用したのですが、プラ素材の性質のせいなのか、しっかり貼り合わせても数日たつと接着部分が再び割れてくる現象が確認されました。再度接着とパテで処理しましたが、一度貼り合わせたあと時間を空けて接着部分を確認した方が良いと思います。

反省点
キット購入当初はエッチングをまったく使用しないで作ってみようかと目論んでいましたが、寝かしているうちに某艦船模型の大家の方が先にやられてしまったので、キットのモールドを生かしつつ、エッチングを必要最小限にとどめて、プラ素材、金属素材、既製品のパーツ等を用いて制作する方向に転換しました。
いままでは足りないディティールを盛ることにのみ腐心してきましたが、岩重多四郎氏の著作を読んで、むやみにディティールを増やすことだけがディティールアップではない、と考えるようになりました。かえってオーバースケールになってしまうのであれば、あえて表現しないこともディティールアップにつながるのではないかと考え、「1/700というスケールの中で、なにを足してなにを引くか」を考えながら制作しましたが、煮詰めきれていない部分も多くあり、個人的にはかなり中途半端な作品にになってしまったと思っています。このテーマは今後も追求していきたいと思います。
基本工作をしっかりと丁寧にやることを目標に作りましたが、改めて見るとパーティングラインが消しきれてない部分があったり、徹底しきれていない部分が多々ありました。疲れている時や気分が乗ってない時に作った部分は大体だめですね…。
リノリウム甲板の塗り分けにマスキングを行ったのですが、平面形状が複雑で、ウォータースパンのモールドも繊細で見分けがつきにくく、とても苦労しました。のばしランナー等でウォータースパンの範囲を強調した方がスムーズに塗り分けできると思います。
徹底したディティールアップについては、ちょうど発売中の艦船模型スペシャルNo.48に「秋月」の素晴らしい作例が載っていますので、そちらを参考にされると良いと思います。艦橋内部まで作り込んでます。すごいです。




遅きに失した感はありますが、大戦期に作られた「秋月」はある意味、日本駆逐艦のひとつの到達点であるように思えます。
スマートで優美な船形に高角砲身を高く掲げた姿はやはり力強く美しいです。今回制作してみて、未だに人気が高い理由があらためて理解できました。


駆逐艦「秋月」を作る ー 完 ー