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千鳥型水雷艇を作る! [1/700千鳥&真鶴]

前回トップヘビーな初春型駆逐艦を作ったので、次もトップヘビーな千鳥型水雷艇を作ってみたくなりました。日本の造船史を語る上で避けて通ることのできない友鶴事件を起こした千鳥型水雷艇です。

キットはピットロードの千鳥型水雷艇を使います。2隻入りで「千鳥」「真鶴」の制作が可能です。エッチングパーツも2隻分入ってます
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資料は以下を参考にします。
「日本海軍小艦艇ビジュアルガイド 駆逐艦編」岩重多四郎著 大日本絵画刊
「日本駆逐艦史 世界の艦船2013年1月号増刊 No.772」海人社刊
「軍艦シリーズ…4 図解 日本の駆逐艦」雑誌「丸」編集部編 光人社刊
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制作方針です。
・1933年就役時の「千鳥」と1935年大改修後の「真鶴」を作る。
・全体のバランスに注目し、実物画像と比較してチェックする。
・改造を通して工作スキルの向上を目指す。

一度仮組みしてバランスを見ます。12cm単装砲の防盾はエッチングパーツが用意されていて、なかなかいい感じです。防盾は実際には左右対称ではなく左舷側にオフセットしていますが、そこは目をつぶります。
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実物画像と比較して、以下の項目を就役時、大改修後共通の主な改修点として工作してみたいと思います。
・バウ形状修正
・艦首フレア修正
・アンカーリセス位置修正
・缶室給気フード大型化
・煙突大型化、高さ修正
・魚雷発射管基部高さ修正
・後部構造物通風筒形状変更
・艦尾形状修正
個別の改修点についてはその都度挙げていきます。

ベースにナットを仕込みます。
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艦尾の四角ナットは上部船体パーツとわずかに干渉するので、喫水線パーツを0.2mm程度削りました。
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台座に据えてボルトの出代を確認します。艦尾側は四角ナットの厚みより高くならないように、平ワッシャーを重ねて調整します。
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船体の工作(1) [1/700千鳥&真鶴]

千鳥型水雷艇は船体の工作から進めます。
共通部分の工作は以下の通り。

・フレアを削って強調する。
・バウを削って調整、ダブルカーヴドバウに近づける。
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・艦尾をパテ盛りして垂直に。
・パラベーンデリックのスポンソンをパテで追加。
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「千鳥1933」にバルジを追加。0.5mm厚プラ板を使用しました。
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甲板上の不要なモールドは削り落としました。
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納得のいく船体のラインがなかなか出なくて、時間がかかってしまいました。

船体の工作(2) [1/700千鳥&真鶴]

引き続き船体の工作です。

アンカーリセスの位置が低いので、いったん埋めて彫り直しました。
舷窓も一度埋めて彫り直しています。
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いきなり本番で失敗するのはこわいので、練習してから取りかかります。
一度2.5mmピンバイスで彫り込んだあとで、前を半分程度パテで埋め戻します。アンカーヘッドを収納する部分を0.5mmピンバイスで浅く彫り込み、デザインナイフで削って2.5mmの穴につなげています。
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アンカーはファインモールドのエッチングを使います。右がキットパーツです。
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上甲板のリノリウムモールド押さえ金具をのばしランナーで復旧しました。
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「千鳥」1933魚雷発射管の基部を増設。キットパーツを使わず、プラ材でスクラッチしていて高さが0.8mmほど低くなっています。六年式連装魚雷発射管はピットロードの新装備品セットのものを使います。
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上部構造物の工作(1) [1/700千鳥&真鶴]

千鳥型水雷艇は上部構造物の工作に進みます。
わからない部分が多くて少しずつ進んでいます。

艦首錨鎖甲板上はチェーンのモールドを削って、ホースパイプをピンバイスで開口。他にもプラ材等でディティールを追加しました。
波切り板は、就役時の写真には無いように見えたので、削り取りました。縞鋼板とリノリウムの境界はわかりませんので、想像で分割しました。
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後部構造物上にプラ材で構造物を追加。左舷寄りにある大型の給気フードは、一度削り取って大きくしました。実物の画像を見ると、給気フードは、舞鶴工作部で建造された「千鳥」「友鶴」はまっすぐに、藤永田造船所で建造された「真鶴」「初雁」は斜めに付いているようです。
艦尾に副錨を追加しました。
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缶室給気フードはプラ材を挟んでボリュームアップします。
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「千鳥」1933に取付ける予備魚雷格納箱です。当初「日本海軍小艦艇ビジュアルガイド」に記載されているとおりの寸法でスクラッチしてみましたが、やや奥行き寸法が大きく、魚雷運搬軌条のスペースが狭くなりそうなので、奥行きを0.2mmほど小さくしてみました。
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上部構造物の工作(2) [1/700千鳥&真鶴]

先週の話ですけど横須賀の護衛艦対抗カレーグランプリ行きたかった…。すごい人出だったそうですけど。悔しいので昼飯はカレーメシ食べました。ジャスティス!

「千鳥」[真鶴」は制作時間が取れないのと制作方針に迷いがあって、エントリにまとめるところまでなかなか進まず、更新が遅れてしまいました。
水雷艇は艦橋の工作に入ります。実物の画像を見ると、艦橋基部側面は曲面ではなく平面で構成されているようなので、パテなどを盛ってヤスリ、デザインナイフで面を出します。「千鳥」はプラ材で1階層分高くします。
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羅針艦橋正面がどうも似ていないので、悩んだあげくポリパテを盛って整形しました。
パテ硬化後にヤスリやデザインナイフを使って削り出すのですが、ここに多くの時間を費やしてしまいました。
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①艦橋下面の平面形状が変わったので、上部天蓋の範囲もプラ材とパテで追加しました。
②測距儀の床面は一度くりぬいて厚みの薄いプラペーパーに置き換え、より深くしました。
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煙突はパーツを使わずに、プラ材でスクラッチ。のばしランナーでモールドを付けました。
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一度仮組みしてバランスを見ます。艦橋基部ががやや高いかも…。
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上部構造物の工作(3) [1/700千鳥&真鶴]

艦橋は細部のディティールアップを行いました。天蓋パーツは別途塗装するのでまだ取付けません。
艦橋基部は高さを調整して、竣工時を5.5mm、改修後を2.7mmとしました。
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竣工時の魚雷運搬軌条は、どんな素材を使うか懸案となっていました。0.2mm銅線、のばしランナー、0.3mmプラ角棒等、色々考えたあげく0.2mm真鍮線にしました。
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ダビット等、エッチングパーツも取付けました。
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ゴールデンウィーク中はここまでしか進みませんでしたが、とりあえず最大の難所は超えた感じです。

兵装の工作(1) [1/700千鳥&真鶴]

「千鳥」「真鶴」は兵装の工作に入ります。

「真鶴」(1935)の45口径三年式12cm単装砲です。
防盾は付属のエッチングを使用します。プラペーパーで少しだけディティールを追加しています。
実物の防盾は、砲身の軸を中心に左右の長さが異なるのですが、エッチングではそこまで再現できていません。
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砲身も真鍮挽き物砲身に置き換えます。本来は12cm砲ですが、アドラーズネストの12.7cm砲身を使用しています。船体との接着部は0.5mmほど削って高さを低く抑えています。
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組み立てるとこんな感じです。
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「千鳥」(1933)の主砲は、50口径三年式12.7cm単装砲A型と50口径三年式12.7cm連装砲B型です。
「子日」の防盾パーツをあらかじめおゆまるで型取りしておいて、そこにポリエステルパテを詰めて複製してみました。何個か制作して出来のいいものを選びましたが、気泡が多くて修正に時間がかかってしまいました。
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修正のために一度削ったモールド等をプラ材や銅線で復旧しました。キャンバスはピットロードの砲身パーツから流用しました。
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兵装の工作(2) [1/700千鳥&真鶴]

兵装の続きです。

六年式53.3cm連装魚雷発射管はピットロード新装備品セットを使用します。2隻で3基使用しますが、防盾のエッチングは2基分しかありませんので、1基分はプラペーパーでスクラッチしました。
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12.7mm単装機銃はフライホークの13mm単装機銃で代用しましたが、なんんだかコレジャナイ感じがします。
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爆雷装填台及び投射機は船体中央にあるのはなく、左右両舷に分割されていた説を採用します。
装填台はライオンロアのエッチング、投射機はピットロード新装備品セットから、八一式爆雷投射機を使用します。
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掃海具はファインモールドのナノドレッドシリーズを使用します。
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艦載艇は水雷艇1隻につき、6mカッター2隻、6m内火艇と6m通船が各1隻という構成です。
ガイドモールドをモデリングヂゼル等で除去します。
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6m通船はアオシマ「子日」に付属していたものを使用します。やや大きめのため、外側を削って小さくしています。
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そろそろ塗装の工程に移ります。

マスキングと塗装 [1/700千鳥&真鶴]

暑い日が続くと思ったら入梅でぐっと気温が低くなり体調管理が大変です。

「千鳥」「真鶴」はマスキングと塗装を行いました。
マスキングはどうしても時間がかかります。
外舷手摺とその他艤装品も取付けました。
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船体は今回XF-54ダークシーグレイを使用しました。
マスキングはまずまずでしたが、はみ出た部分はタッチアップします。
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今回はここまでです。

マストの工作・仕上げ [1/700千鳥&真鶴]

「千鳥」「真鶴」は制作時間がなかなか取れなくて停滞気味ですが、あと一息なのでがんばって仕上げます。

艦橋及び船体の細かい部分をタッチアップ。
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0.2mm銅線を使って伝声管を作りました。「千鳥」就役時に使用します。
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前檣のトップは付属のエッチングを使用しています。
主柱は0.3mm真鍮線、支柱は0.2mm真鍮線を使用しました。
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なんとか今月中には完成させたいです…。

艤装・仕上げ [1/700千鳥&真鶴]

ブラジルサッカーワールドカップで日本代表は、一次リーグ敗退と残念な結果となってしまいました。
オランダの代表が「我々は美しいサッカーをしに来たのではない。勝つためのサッカーをしに来たのだ」って言ってました。勝つためには、それまでの理念、戦術を捨てなければならない時もある、ということです。いろいろと深く考えさせられます。
自分でもよくわかりませんが無性にドラマ「坂の上の雲」の203高地のシーンが見たくなって、録画したのをずっと見返してました。


さて、「千鳥型」水雷艇もいよいよ大詰めになってきました。
最後に細かい装備品を船体に取り付けていきます。

艦載艇は細部を塗装しました。
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前檣は艦橋を取付けた後、現物に合わせて支柱を作ります。
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後檣の艦尾信号灯は爪楊枝でシルバーを塗り、その上からクリアレッド、クリアグリーンを同じく爪楊枝で塗っています。
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巻上機はファインモールドのものを使用しようと考えていたのですが、大きすぎて入らないことが発覚。急遽、プラ材で小さいものをスクラッチしました。
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他、兵装、伝声管等を取付けて、エナメルのジャーマングレーで軽く墨入れしました。
あとは、デカールと張り線を少しだけ行います。
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次回で最終回です。

千鳥型水雷艇 完成 [1/700千鳥&真鶴]

デカールと張り線を少し、最後に軍艦旗を艦尾に掲げて完成です!

大日本帝国海軍 千鳥型水雷艇「千鳥」(昭和8年就役時)
IJN CHIDORI-class torpedo bort CHIDORI (comissioned in 1933)
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大日本帝国海軍 千鳥型水雷艇「真鶴」(昭和10年改修時)
IJN CHIDORI-class torpedo bort MANAZURU (repaired in 1935)
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反省点
今回の制作にあたっては、全体のバランスを考えて、船体を修正しました。
艦首フレアやバウ形状の修正、就役時バルジの追加、アンカーリセス位置の修正、艦橋構造物の修正はある程度うまくできたと思います。
ただ、上部構造物については、改めて見てみると煙突廻りのバランスが悪く、自作した煙突が短く感じます。缶室給気フードの厚みを0.5mm多くしましたが、これがいけなかったようで、艦橋高さとバランスをとるため煙突を縮めた結果短くなってしまいました。もうこれ以上手を加えることはしませんが、缶室給気フードの厚さはキットそのままにして、煙突長さを0.5mm増加するとよりバランスが良くなるでしょう。
また今回のもうひとつの目標として、改造を通して工作スキルの向上を目指しましたが、艦橋基部のスクラッチ、就役時主砲の複製等を通してある程度達成できたと思います。今後はより正確で丁寧な工作スキルの向上を目指していきます。
デカールのシルバリングを抑えるため、ツヤ消しクリアを薄く吹きましたが、湿度が高かったせいかやや白っぽくなってしまいました。
今回艦尾掃海具にファインモールドのナノドレッドシリーズを使用しましたが、単品としては非常に精密で良いのですが、今回使用したピットロードのキットはあっさりしているので、十分にディティールアップをしないとキットから浮いてしまう印象です。全体の統一感を考えれば、付属のエッチングでも良かったかもしれません。


前作「初春」に続いて、同時期に建造されたトップヘビーな千鳥型水雷艇を作ってみました。
大型艦の建造を制限されたロンドン海軍軍縮条約下において、千鳥型水雷艇は、排水量の小さな艦に重武装を詰め込んだ苦肉の策でしたが、1934年(昭和9年)3月12日、佐世保沖において、訓練中の3番艦「友鶴」が大波を受け転覆、艦長以下100名死亡という大惨事が発生してしまいます。これによって千鳥型水雷艇を含む全ての艦艇について復元性能の再検討を行うこととなりました。昭和9年から10年にかけて千鳥型水雷艇は大改装を行い、復元性能の改善が行われ、これ以降海軍艦艇の転覆事故はなくなりました。
事故の主な要因として、軍令部からの無理な要求、その要求を安易に飲んでしまったこと、設計、造船技術の未熟さ、等があげられます。
大きな犠牲を払って得た教訓でしたが、1936年(昭和11年)1月15日にロンドン海軍軍縮条約を脱退。これによって水雷艇という艦種に縛られる必要がなくなり、建造は千鳥型、鴻型合わせて12隻にとどまっています。

参考文献:失敗知識データベース「水雷艇友鶴の転覆」

最後はトップヘビーな「初春」と共に。
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千鳥型水雷艇を作る ー完ー
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